Ⅴ 大規模修繕工事の契約方式の差とその秘密

大規模修繕工事のやり方、3方式の比較」で述べた「責任施工方式」の方が安く施工出来る理由は、管理組合側と施工業者との直接の話し合いで全ての工事仕様、工事方法、工事期間等が決められ、ほかの間接経費が掛からないからです。
 
参加の施工業者は下見の際、建物や設備の状態、住民の使用状況を把握した上で、不具合箇所を確認します。
その上で長年の自己の工事実績に基づく材料費、人件費、その他経費を計算し、他の施工業者と比較しても遜色のない見積計算書を彼らのリスクで提出してくれます。
余程予想外の隠れた暇疵がなければ、その見積もりに相当の責任を持ってくれます。
 
 
自主管理をしておられる団地の管理組合法人等の多くは、設計事務所をコンサルタントにして計画的に大規模修繕工事を実施しておられますが、大きな部分を占める外壁塗装やタイル補修工事の下地処理作業の必要量は、高圧洗浄などで表面を剥がしたり、タイルを叩いて検査してみないと決められません。事前に調査するには足場仮設工事が必要になるため、彼らの見積用標準仕様書に仮定の数量を置いた上で、概算見積金額を入れることになります。屋上やべランダ、廊下などの耐水床面等の補修工事等でも必要面積の想定は同様です。
給排水管の取り換え工事も事前に部分的に取り換えてみた上で、要否の判断をして必要工事量を見積もることになります。
電線や通信線については専門業者に現場を見てもらわないと見積りは出せません。ポンプやバルブ等機器の不具合は実際に本体の蓋を開けてみないと修理方法は決まりません。
 
 
「設計・監理方式」では、一般的に官庁や関連団体の作った標準的な工事仕様書を、個々のマンションの様式に当てはめて選定し、標準仕様書として施工業者選定の入札用の資料に使用しているそうです。
入札に当たっては、応札各社は諸条件を付けて見積もりますので、全体の最終工事金額は、工事が終わってみなければ分からないのです。
当然の事として、実際の工事の途中や完工後に追加工事費が要求されることになります。
入札時に工事量を少なめに見積っているからですが、最低価格で入札した施工業者からの要求ですから、追加仕様分の費用の増加は断れません。

また、その契約方式では、追加請求以外の工事途中で気づいた追加仕様への対応余地はあまりなく、より良い品質への仕様変更なども聞き入れて貰えない硬直した仕様内容のまま、工事期間が終わることとなるでしょう。なぜなら全体工事期間が延びると間接経費が増えるので、下請け業者が途中からの追加工事を嫌う傾向が強いためです。
「管理会社への一括お任せ方式」の場合は、これに更に管理会社の一般的間接経費の取分が上乗せされるだけです。
 
 

「入札方式」は本当に必要ですか?

一般的にマンションの大規模修繕工事の場合、管理組合(理事会)としての「公正性」を担保する為に、理事会が設計コンサルタントや施工業者の選定に「入札方式」を採用して居られるところが多い現状であると思われます。
 
しかし民間のマンションで建築設計コンサルタントを入れて建物調査等をした上で入札用見積仕様書を作って貰う必要のある工事は、実務的には耐震補強工事や団地再生計画等だけと言えるのではないでしょうか。一般修繕では原形に戻す仕事だけですので、力学的計算は必要ありません。復旧材料の選定は施工業者で十分できます。
 
 
「責任施工方式」を採用する場合は、施工業者の選定になるべく身近な地域内の中堅規模の塗装・タイル業者や専門施工業者を3社程度探して、見積り合わせに参加して貰うことの方が工事費の節減に有効です。
この場合は入札のように必ずしも合計金額の安い業者を選定すると約束する訳ではないので、その見積計算書等を拡大理事会や修繕委員会でじっくり検討して、値段だけではなく過去の評判や信頼性等を基準にして選べば良いのです。
 
 
施工業者と実務的な条件などを最終選定前に十分話し合い、お互いに納得することが大事です。
施工業者の現場代理人の人柄も重要な要素ですから、その条件を付けた方が良い結果を得られるでしょう。
塗料等の工事材料もより良いものを使ってくれるよう要求しておいた方がよいでしょう。材料費の値上がり分は労務費に比べれば全く大したことはありません。それで、もし品質保証期間を延ばしてもらえるならば御の字です。
また、自分達だけでは技術的に不安が有れば、設計コンサルタントに詳細設計打ち合わせと現場立会や各回の検査時にだけに参加いただきご意見をいただけば良いのです。
 
 
皆様が勇気をもって新しい方式に乗り出して、完成させるまでのご相談とコーチングを、実際に節減できた費用に比例した成果報酬でお手伝いしたいと思っております。

貴理事会等のご都合に会わせてご説明にお伺い致します。当社にご連絡下さい。